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ワインの概要

ワインは最も多くの地域で飲用されているアルコール飲料の一つである。ワインは主に以下の3種類に分類される。 白ワイン 主に無色に近い色調から(時に緑がかった)黄色みを帯びたワインを白ワインと呼ぶ。白ブドウなど主に色の薄い果皮のブドウを原料とし、発酵には果汁のみを使用する。酸味の強い物は、一般的に魚料理に合うとされる。 赤ワイン 透き通った赤や濃い紫、あるいは赤褐色のワインを赤ワインと呼ぶ。一般に白ワインよりもタンニンを多く含み、渋みがある。主として黒ブドウや赤ブドウを原料とし、果実を丸ごとアルコール発酵させる。この発酵の過程で、果皮に含まれる色素やタンニンが抽出される。マロラクティック発酵により減酸が行われることも多い。濃厚な風味のものは一般的に肉料理に合うとされる。また冷やすと苦味が増すので、冷やさないのが普通である。 ロゼワイン ロゼ(rose)とはフランス語で「薔薇色」を意味し、時にピンク・ワインとも呼ばれる赤みを帯びた淡い色調のワインを指す。製法には、果皮の色の薄いブドウを赤ワインのように醸造する方法や、赤ワインと同じブドウを白ワインのように醸造する方法、赤と白の双方のブドウによる混醸などがあり、味わいも様々である。 他に発泡ワインなどの特殊な製法のものがある。ワインの風味を構成する味覚は、白ワインでは酸味・甘味であり、赤ではそれに渋味が加わる。加えて、香りが風味の重要な要素であり、これらのバランスが取れているものが一般的に良いものとされる。 ワインの主成分は水、エタノール、各種の有機酸、糖、グリセリン、アミノ酸、核酸、タンニン、炭酸ガスなどである。各種の有機酸の中では酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸の6つがワインの風味に関して最も重要な要素と考えられている。また、貴腐ワインにはグルコン酸が多く含まれている。 ワインは瓶に詰められた後でも熟成が進み、風味は変化を続ける。熟成期間はボルドーワイン等の一部のワインでは50年以上もの熟成に耐えるものもあるが、多くは1年から10年ほど、長いものでも20年から30年である。安価なワインでは熟成によって品質が向上することはあまりなく、むしろ早く飲まないと劣化してしまう。長い熟成に耐えるものを長熟、逆に早く飲むものは早飲みという。作られて間もないワイン(若いワインと表現する)は、ブドウの生の味が強く、渋すぎたり、酸味がきつすぎるということもあるが、熟成が進むと角が取れてまろやかになる。また、年数が経てば総数が減るので希少価値が上がり、価格も高くなる傾向にある。ただし熟成したワインが必ず美味しいというわけではなく、あくまで個人の好みによる。 ワインが食文化に根付いているヨーロッパでは日常的に飲まれることも多いが、近年では日本における日本酒と同様に、一人当たりの需要量は減少傾向にある。イスラム教においては、飲酒が教義により禁止されているため、発祥地である現在の中東諸国では、ワインの生産は、世俗主義国家であるトルコ、比較的リベラルなイスラム教徒やキリスト教徒が住むレバノン・ヨルダン・パレスチナ・エジプト等に限られる。日本を含むアジア諸国では、一人当たりの需要量は依然として少ないが、需要の伸びは著しい。 歴史 [編集] ワインは最も歴史の古い酒の一つとされ[1]、紀元前6000年頃にメソポタミアのシュメール人により初めてワインが作られたといわれる。ワインの宗教的利用も古くから始まっている。ギルガメシュ叙事詩には、古代メソポタミアで伝説的な王・ギルガメシュが大洪水に備えて箱舟を造らせた際、船大工たちにワインを振舞ったというシーンがある。紀元前5000年頃にはビールも作るようになり、紀元前3000年頃に古代エジプトに双方が伝わったとされ、ピラミッド内部の壁画にも克明に製法が記録されている。ビールの醸造の方が比較的簡単であったため、これら古代オリエント地域では、ビールを日常消費用、ワインを高級品として飲み分けていた。 その後フェニキア人により古代ギリシアへも伝わる。この頃は水割りにして飲まれていた。現代ギリシャ語でワインをο?νο?(「エノロジー(oenology、ワイン醸造学)」の語源)ではなく普通κρασ?(混合)と呼ぶのはこの水割りの習慣の名残である。ワインはそこから地中海沿岸に伝えられ、古代ローマへと伝わり、ローマ帝国の拡大と共にガリアなどの内陸部にも伝わっていった。ワイン製造の技術が格段の進歩を遂げたのはローマ時代においてとされ、この時代に現在の製法の基礎が確立した。 中世ヨーロッパの時代にブドウ栽培とワイン醸造を主導したのは僧院であった。イエス・キリストがワインを指して自分の血と称したことから、ワインはキリスト教の聖餐式において重要な道具となった。ただしこの時代、ワインは儀礼として飲むものとされ、むやみに飲んで酩酊することは罪とされていた。ルネサンスの時代以降、娯楽としての飲酒が発展する。17世紀後半、醸造や保存の技術、また瓶の製造技術が向上し、ワインの生産と流通が飛躍的に拡大した。 製法 [編集] 広い意味でのワイン作りはブドウの栽培と醸造に二分できるが、ワイン産地ではワイン作りと言えば醸造(英語ではwinemaking)を指し、醸造学は英語でエノロジー(oenology/enology)と言う。これに対しブドウ栽培(英語でgrapegrowing)の技術や学問はヴィティカルチャー(viticulture)と呼ばれる。海外の大学はブドウ栽培と醸造学の両コースを持つのが普通である。 ワインの生産主体はフランスのボルドー地域においては「シャトー」、ブルゴーニュ地域においては「ドメーヌ」と呼ばれることが多い。フランス語の「シャトー」は、もとは城館をあらわす言葉であるが、ボルドー地域においては転じてぶどう園や管理場、生産者のことをも指す。主なものではシャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・マルゴー、シャトー・ラトゥールなどがある。イタリアにおける「カステッロ」、ドイツの「シュロス」、スペインの「カスティーリョ」も同様である。「ドメーヌ」は、フランス語で「土地」をあらわす語である。カリフォルニアワインなどで「エステート」という語を使っているのもドメーヌと同義である。 ブドウ作り [編集] 「ワイン用葡萄品種の一覧」も参照 カベルネ・ソーヴィニョン どんなに醸造の技術が進歩しても良いブドウからでしか良いワインは作れない。そのためブドウ作りは醸造以上に重要であると言える。ワインに使われるブドウの種類は基本的にはヨーロッパ種(学名:Vitis vinifera)である。品種はサルタナ(トンプソン・シードレス)種などごく一部に生食用に使われるものもあるが、ほとんどはワイン専用である。一般にワイン専用のブドウは生食用のブドウよりも粒が小さく、皮が厚く、種が大きく、甘みと酸味がより強い。主なものにカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどがある。どのブドウをどの程度使うかは味の特徴を決定する大きな要因である。現在ワイン用ブドウとして作られる品種のほとんどがヨーロッパ種であるので、ワイン用ブドウの生育に適した気候は地中海性気候等のヨーロッパの環境に準じたものとなる。 気候に続いて土壌も重要な要素である。土壌に関してはカリフォルニアのように、あまりに栄養豊富でおまけに深いと樹が繁り過ぎてかえって良いブドウが作りにくい。たとえ土地が痩せていても、水はけが良くて、ブドウが深くまで根を張ることができる程度に土が硬くなければ、ブドウの栽培には都合が良い。土壌の中の栄養素もまた味の特徴として出ることがある。しかしその栄養素のブドウへの取り込みは台木の種類にも影響される。これらにブドウが栽培される畑の日当たりや局地的な気候などの要素を加え、それを一くくりにして「テロワール」と呼ぶ。 ブドウが生育するに当たり、樹が大きくなりすぎたり、あるいは房になる実の数が多くなりすぎたりすると一つ一つの粒に与えられる栄養が少なくなり、ワインにした際に品質を下げることになる。そのため多くの場合は、ブドウの樹は剪定などを行ってあまり大きくなりすぎないようにし、房は間引きを行うことになる。 その年に雨が多く、日照量が少ないとブドウの生育が悪くなり、そこからできたワインは糖分に乏しく腐敗果の混入の恐れが増える。逆に日照が良すぎ、生育が早すぎると糖分が強くなりすぎ、酸味とのバランスが悪くなる。その年のブドウの作柄のことをヴィンテージと呼ぶ。現在では転じてブドウを収穫した年のことをヴィンテージと呼び、その年の出来不出来によってワインの出来が変わる。そのために各国のワイン関連組織やワイン専門誌などによってヴィンテージチャートが発表される[2]。安価なワインでは品質を安定させるために複数の年のワインを混ぜた「ノン・ヴィンテージ」であることが多い。シャンパンはノン・ヴィンテージが一般的であり、産年表示された「ヴィンテージ・シャンパン」は、高級品に限られる。 醸造 [編集] 樽で熟成されているワイン 醸造のいくつかの段階で酸化防止剤としても知られる二酸化硫黄(亜硫酸ガス, SO2)またはその塩(ピロ亜硫酸カリウム)が添加される。亜硫酸には、雑菌の抑制および殺菌、葡萄の皮に含まれる酸化酵素の阻害、果汁中の色素の固定、ワインで発生することのある過酸化水素の除去、酸素の除去(ただし反応は遅い)等の様々な重要な働きがある。亜硫酸は人体に有害な物質としても知られるが、フランスのワイン法では必ず亜硫酸を添加することを義務付けているように少量であればほとんど問題はない。しかしこれを気にしてこれを添加しない製法もあり商品化されているがまだ研究段階と言え、そうして造られた製品は往々にして品質が低い。また、日本やヨーロッパ諸国、アメリカなどでは、製品中の亜硫酸濃度が厳しく規制されている。日本で販売されているワインの『無添加ワイン』とは亜硫酸が無添加であることを意味している。 収穫から搾汁 [編集] 詳細は「ムスト」を参照 醸造するには、まず葡萄を収穫しなければならない。葡萄の収穫は糖度が 14〜26度程度になったところで、鋏または機械で行う。収穫時期をいつにするかということもまたワインの味を決める重要な要素で、単純に糖度が高いだけでは酸とのバランスが悪い物になる。この際に病気のもの(腐敗果)・生育が悪いものは(必要以上に酸をもたらすため)取り除く。この過程を選果という。 伝統的なワインの製造(発酵)方法は、ブドウの芯を取り除き(除梗)、実の皮を破る(破砕)。スペイン、イタリアの農村では収穫期には伝統的に村人総出で、素足で体重を掛けて搾汁する光景が見られる[3]。最近のワイン工場ではステンレス製の除梗破砕機を使用し搾汁する[4] 。この次に赤ワインでは果皮や果肉の混ざったままの果汁を発酵させ、白ワインでは圧搾機にかけて果汁を搾り出した(搾汁)後、果皮や果肉は捨てて発酵させるが、一部の白ワインではスキンコンタクト法と言い「破砕した果実と果汁を1〜24時間接触させた後に搾汁する」方法も取られる。ロゼには様々な製法がある。多くのワイン専用品種では収穫した果実重量の55〜65%程度の果汁が得られ、大粒生食用品種の巨峰等では80〜85%程度の果汁を得る。渋みとなるタンニンは皮或いは種子に由来し、種子のタンニンはアルコールによって溶出する。 主発酵(一次発酵) [編集] 発酵させるに当たり、ブドウの果実には天然の酵母(野生酵母)が取り付いており、果汁が外に出ることで自然にアルコール発酵が始まる。伝統的な製法では酵母には手を加えない自然発酵が主流であったが、現在では、安定した発酵をさせるため、特別に培養した酵母を使用した酒母を添加し、それ以外の菌を作用させない方法がとられる。その後、場合によっては糖(果糖ぶどう糖など)が添加される。この後、赤なら約20〜30℃、白なら15〜18℃に保ち、数日から数十日かけて発酵させたのち(これを「主発酵」と呼ぶ)、圧搾によって液体成分を搾り出す。目的の発酵度合い(糖の残り具合)になった所で、発酵を停止させることもある。アルコール発酵中に発生する炭酸ガスにより一緒に仕込んだ果皮や種が浮き上がり、好気的な微生物の作用を受けやすくなるため、ピジャージあるいは撹拌や循環により固形分が常に液体に浸った状態を維持する。 酵母による発酵の成果として十分に発酵した場合、糖度計による計測糖度の約1/2の値のアルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)が生成される。目的の発酵度合いになったところで、液体と固形分を分離する。このとき圧力をかけずに自然と流れ出た液体が「フリーランワイン」で、残った固形分を圧縮し搾った液体が「プレスワイン」である。「フリーラン」「プレス」は混合されるが、一部では別々に二次発酵から瓶詰めを行い、各々が特徴を持ったワインに仕上がる。酵母によるアルコール発酵にはアルコール濃度の上限があり、およそ20パーセントであると言われている。 二次発酵とマロラクティック(Malo-Lactic Fermentation)発酵 [編集] 搾り出された液体は、ステンレスやコンクリート製のタンク、木製(主にフレンチオーク、一部ではアメリカンオークも使用される)の樽に貯蔵され、残っている糖分を酵母により更に発酵させる。木製の樽を利用するとその香りなどがワインに影響し、その効果が良い評価を与えられることがある。一方ステンレス製のタンクではワインへの影響がないため品質管理がやりやすくなるという利点があり、近年はステンレス製タンクを利用する生産者も増加している。熟成期間は数十日から数年とさまざまである。底にたまった滓(おり)は随時回収する。二酸化炭素を大気中に発散させず液中に封じ込めた物はスパークリングワインとなる。ブドウとリンゴ(シードル)では二酸化炭素のとけ込みやすさが異なる。 この後、赤ワインでは乳酸菌が投入される場合があるが、乳酸菌による発酵がマロラクティック発酵(MLF発酵)で樽内熟成行程のひとつ。これを「熟成」とも呼ぶ、発酵作用自体は酸味の主成分であるリンゴ酸の乳酸と二酸化炭素への分解で、ワイン対する変化は酸度の減少と微量芳香成分の付与である[5]。日本酒に対しこの菌が作用すると腐造となる。乳酸菌としては、モホ型 Lacobacillus paracasei , Lb. plantarum , テヘロ型 Leuconostoc mesenteroides が作用をもたらす[6]。 澱引き(おりびき) [編集] 発酵が終わったワインは、酵母や酒石などの澱が沈降するため、遠心分離、ろ過、静止などにより澱を分離する。 また熟成期間中のワインも、澱が生じるので適宜、澱引きを行う。 瓶詰め [編集] 「ワインボトル」も参照 貯蔵後はガラス瓶などの容器に詰め、コルクなどで栓をし、この後、出荷される。コルクには天然のコルクと、合成素材のみ、もしくは天然コルクと合成素材を組み合わせた合成コルクがある。合成コルクは主に安価なワインに使用される。汚染等が問題になるコルクの代りにスクリューキャップも用いられる。安いワインはバッグ・イン・ボックスと呼ばれる段ボール箱に入った特殊な薄い袋(容量は2-4リットル)に詰めて売られることも多い。これは、輸送コストが安く、空気が入りにくいため開栓後ワインが酸化しにくいのが特長である。また、ペットボトルや紙パック、缶が容器として使用されることもある。 赤・白ともにほぼ全工程で、なるべく空気との接触を断つ必要があり、一部の工場では窒素充填環境下で発酵以降の工程を行う。多くの場合、空気と共に酢酸菌が侵入し酢酸発酵が行われることで、酸味の強すぎるワインになったり腐敗状態となるが、意図的に酢酸発酵を行わせワインビネガーを造ることもある。 酸化防止剤は、日本では上記の2つの物質以外は認められていないが、南米などから赤道を越えて船で輸送されるものは、多くの場合に保存料として認められているソルビン酸が添加される。 搾汁後に残った種子はグレープシードオイル(葡萄種油、食用油)の原料として利用される。澱の酵母は加工後に健康食品として販売されることもある。 特殊な醸造技術 [編集] 補糖と補酸 ワインの醸造の過程では補糖が行われる場合がある。補糖の目的は、果汁の糖度の不足を補い、アルコール度数を高め、赤ワインでは色を濃くすることにある。また、果汁の酸の不足を補うために補酸が行われる場合があるが、過剰な酸を含む場合は除酸も行われる。多くの国では、この2つの同時使用は認められておらず、またどちらかが法律で禁止されている場合もある。例えば、ボルドー、ブルゴーニュでは同時使用が禁止され、カリフォルニア、オーストラリアでは補糖が禁止されている。 炭酸ガス浸漬法 果実味に富んだ鮮やかな色とタンニンの少ないワインの醸造に用いられる。炭酸ガス浸漬法は、果実を房のまま入れた容器を密閉し、炭酸ガスを充満させて行う特殊な発酵方法で、「マセラシオン・カルボニック」や「カーボニック・マセレーション」とも呼ばれる。葡萄は果粒中の酵素によりアルコール(1.5〜2.5%)を生じ、数日後に搾汁し補糖をして酵母による発酵へと移る。短期間で作られ、毎年11月の第3木曜日が解禁となる「ボジョレー・ヌーヴォー」もこの製法で作られる。数十年といった長期保存には向かない。 果汁再添加 ワインの生産過程で時に、果汁再添加(果汁再配合)が行われることがある。これは発酵により失われた香りや甘味を補うためで、主としてアルコール度数の低い日常消費用の甘口ワインに用いられる。ドイツで多く見られる技法で、添加される果汁は多くの場合、搾汁した際に醸造用とは別に保存していたものを混合する。「ジュースリザーヴ」あるいは「ズュースレゼルヴ」ともいう。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』